介護施設の食事提供に関わる、食費基準額。
物価上昇によるコスト増が続く中、実際の食費と制度上の基準額にギャップが生まれ、施設側が持ち出し負担を抱えるケースが増えています。
こうした背景を受け、2025年12月3日に開催された厚生労働省の社会保障審議会では、基準額の見直しに関する議論が行われました。
・なぜ見直しが必要なのか
・審議会で話し合われた内容
・利用者・施設・制度それぞれへの影響
・これから注目すべきポイント
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出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66417.html ほか
なぜ今、見直しが必要なの?

今回の見直しの背景をまとめました。
物価高騰でコスト上昇
食材費・光熱費・配送費など、日々の食事提供に欠かせないコストが数年で大きく上がっています。
「少し値上がりした」では済まないレベルだと感じることも…
積み重なると月数万円規模になるケースも珍しくありません。
物価高の影響は、もちろん介護施設の運営費にまで影響があります。
現行の「食費基準額」が実態に合っていない
現在の基準額は、長らく大きく変わっていません。
その一方で、施設が実際に使っている食材費は年々上昇。
基準額と実コストの間に約3,000円の差 が生まれています。
この差額を施設が“持ち出し”している状況が続いています。
現場の課題
・持ち出し負担が増えて経営を圧迫
・献立の自由度が下がり、工夫の限界
・栄養面や満足度に影響が出る可能性も
こうした課題は、利用者さんの「毎日のごはん」に直結する問題でもあります。
審議会で検討されたポイント

審議会で検討されたポイントは3つあります。
食費基準額の引き上げ
方向性としては、実コストに近づける方針。
2026年度の反映を目指し、基準そのものを見直す議論が始まりました。
物価上昇に応じて調整できる仕組み
今後も物価が上下することを見据え、“物価スライド制” のような 自動調整の仕組み を導入するかどうかが大きな論点になっています。
来年度の介護報酬改定に向けて議論継続
今回の議論はスタート地点。
- 引き上げる金額
- いつから適用されるか
といった具体的な内容は、来年度の介護報酬改定に向けて話し合いが続けられる予定です。
基準額が変わるとどうなる?

基準額の変更により、どんな影響があるのか。施設側・利用者側・制度側の3つの視点でまとめました。
施設側
・持ち出し負担が減る可能性
・食材の質を維持しやすくなる
・経営が安定し、サービスの継続性が高まる
基準額の見直しは、施設運営の“苦しさ”を和らげる効果が期待されています。
利用者・家族側
・食事の質や栄養面の安定につながる
・負担額がどう変わるかは、今後の決定内容に左右される
毎日の食事が「安心して続けられるもの」になるかどうかは、今回の議論に大きく関わっています。
制度側
・実態に合った制度へアップデート
・透明性や公平性の向上
「現場と制度のズレをなくす」という観点からも、今回の見直しは重要な意味を持っています。
これから注目すべきポイント

注目すべきポイントは5つあります。
①具体的な引き上げ幅はいくら?
金額の大小は施設や利用者さんの負担に直結するため、最も注目が集まる項目です。
②いつから適用されるのか
2026年度の介護報酬改定で反映される見込みですが、詳細は今後決まります。
③補足給付(低所得者向け支援)の扱い
基準額が上がった場合、低所得の方の負担をどう支えるかも大切なポイントです。
④「物価スライド制」導入の有無
一度上げて終わりではなく、物価変動にあわせて調整する仕組みが導入されるかどうか。
制度の“未来の安定性”に関わります。
⑤施設・利用者それぞれへの影響整理
誰にどんな影響が出るのか、丁寧な説明と配慮が求められます。

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