【2026年9月】基本報酬増求める声

つい先日このようなニュースを目にしました↓

引用:Yahoo!ニュース

わたしたちもこの記事を読み色々考えさせられたのでOTOKAの考えを記しておきます。

介護職員の給与を上げたい。休みを取りやすくし、残業を減らし、安心して長く働ける会社にしたい。

OTOKAとして、その思いを実現するために必要だと考えているのが、基本報酬の充実と、制度を運用する事務負担の軽減です。

介護保険サービスの報酬は公的に定められています。人件費や物価が上がっても、保険適用部分の価格を事業者の判断で引き上げることはできません。一方で、職員の採用や物品の調達では、他業種と同じ市場で競争しています。

収入を決める仕組みと、支出が増える仕組みの間に、大きな隔たりがあります。

2026年度の介護報酬の期中改定は、全体でプラス2.03%、そのうち処遇改善分がプラス1.95%です。賃上げ支援の拡充は必要ですが、各デイサービスの基本報酬が一律に2.03%増えるという意味ではありません。処遇改善加算の拡充が中心であり、運営費全般を同じように補うものではないからです。厚生労働省・2026年度改定概要

処遇改善加算は、加算額に相当する賃金改善を行う仕組みです。賃上げに伴う社会保険料などの会社負担増も含められますが、家賃や光熱費、送迎車両の維持費、事務委託費に自由に使える資金ではありません。厚生労働省・処遇改善加算の通知

給与を上げる財源に加えて、休暇中の代替職員を確保する費用、研修の時間をつくる費用、働きやすい設備を整える費用も必要です。職員の処遇改善を続けるには、その職員を雇用する事業所の経営基盤も支える必要があります。

さらに、加算の取得・維持にも人手と時間がかかります。制度の理解、要件の確認、計画書の作成、職員への説明、実績の集計と報告。ケアを提供する仕事に、制度を運用する仕事が重なります。

厚生労働省の2024年度調査では、**処遇改善加算を取得していない通所介護事業所の41.3%が、未取得の理由として事務作業の煩雑さを挙げています。**地域密着型通所介護を含む未取得事業所への複数回答の調査です。事務負担が、職員の処遇を改善する制度への参加を妨げていることが分かります。厚生労働省・処遇状況等調査、概要5ページ

事務のために人を増やせば、追加の人件費がかかります。現在の職員で対応する場合も、他の業務を減らせなければ、利用者さまと向き合う時間が圧迫されたり、残業が増えたりする要因になります。

経営の数字を見ると、その影響が具体的になります。

厚生労働省の2025年度介護事業経営概況調査によると、通所介護の2024年度決算は、1事業所当たり月額で次のとおりです。

項目全国の調査結果
収入593.5万円
給与費361.3万円
収支差額37.1万円
収支差率6.2%

※法人税等控除前、新型コロナ・物価高騰対策関連の補助金を除く指標。OTOKAの実績ではありません。厚生労働省・介護事業経営概況調査、第8表

この数字を使い、収入とその他の費用が変わらず、給与費だけが5%増えると仮定すると、追加負担は月約18.1万円です。月37.1万円の収支差額の約半分が、それだけで必要になります。

さらに、追加の事務対応が月30時間、会社負担を含めた人件費を1時間2,500円と仮定すると、月7.5万円、年間90万円。両方が重なると、月の収支差額は約11.5万円まで縮小します。

これは仕組みを説明する単純試算であり、実際の事務時間や経営を予測したものではありません。それでも、事務作業にかかる時間が、経営上も無視できない費用であることは見えてきます。

代表や取締役が引き受ければ、その負担が消えるわけでもありません。事業展開や次の一手を考え、時代の変化に合わせた仕組みをつくるなど、会社の将来に向けて使う時間を削って対応することになります。自分たちの報酬を抑えて補う方法にも、限界があります。

経営者には改善努力と責任が求められます。同時に、職員を大切にするための負担が、経営者個人の我慢に依存し続ける仕組みでは、根本的な解決になりません。

制度を検討する場で、関係団体との意見交換が行われていることには期待しています。そのうえで、現場からお伝えしたいのは、制度の目的だけでなく、実際に動かすための時間と人手まで、十分に織り込んでいただきたいということです。

新しい要件や書類が一つ増えるたびに、それを誰が、いつ、どの業務の合間に担うのか。

送迎や入浴介助、機能訓練が続く一日の中で、その仕事を追加できる余地があるのか。

制度上は合理的に見える仕組みでも、現場で無理なく運用できなければ、目的と実態の間に距離が生まれます。

現場の声を聞く機会を設けることに加えて、その声が、要件の簡素化や必要な費用の評価に、どれだけ反映されたのかまで確かめていただきたいと思います。

OTOKAとして求めたいのは、物価・賃金の上昇を踏まえた基本報酬の引き上げと、重複する書類・報告の削減です。加算を新設・拡充する際には、受け取れる金額に加え、取得・運用に必要な時間、人件費、システム費用まで検証していただきたいと考えます。

もちろん、基本報酬を引き上げるだけで、職員の給与や働く環境が自動的に良くなるわけではありません。職員への還元を確認する仕組みも必要です。その確認をできる限り簡潔にし、ケアと人材育成に時間を使える制度にしていくことが大切です。

利用者さまに良いケアを届けるために、職員が安心して働けること。その職員を支える事業所も、人を育て、将来への投資を続けられること。

OTOKAは、その両方を支えられる2027年度の介護報酬改定を望みます。

OTOKA

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