基本報酬の引き上げを丨介護の質と、地域の安心を守るために
2027年度の介護報酬改定に向けて、基本報酬の引き上げを求める声が上がっています。
2026年9月12日付の介護ニュースJointによると、9月10日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会では、関係団体から、物価高や人手不足を踏まえた報酬の見直しを求める意見が相次ぎました。職員の賃上げを支える処遇改善とともに、日々の事業運営を支える基本報酬の引き上げが求められています。
横浜でデイサービスを運営する私たち株式会社OTOKAも、この議論を、地域の介護をこれからも続けるための大切な課題として受け止めています。
職員の待遇と、サービスを続ける土台を整える
介護の仕事に見合った給与を支払い、職員が将来に希望を持って働ける環境を整えること。それは、事業者として大切にしたい責任です。
同時に、介護サービスを提供するには、職員の給与に加えて、建物や設備、車両、日々の消耗品などを維持する費用も必要です。
今回、全国介護事業者連盟が提出した資料でも、物価高に対応するため、基本報酬と処遇改善の両面での引き上げが要望されています。(厚生労働省掲載・全国介護事業者連盟の提出資料)
私たちは、職員の待遇改善を着実に進められることと、安心してサービスを提供できる経営基盤を整えることを、一緒に考える必要があると考えています。
デイサービスの「いつも通り」を支えるもの
デイサービスでは、毎日の送迎に車を使い、季節に合わせて室温を調整し、入浴や衛生管理のために水道・光熱費や消耗品費がかかります。車両や入浴設備などの点検・修繕も欠かせません。
こうした費用は、ご利用者さまが安全に、気持ちよく過ごすために必要なものです。
暑い日にも涼しい室内で過ごせること。安全に入浴できること。送迎車で安心して自宅と事業所を行き来できること。
一つひとつは当たり前に見えるかもしれませんが、その当たり前を毎日続けるためには、人の手と費用が必要です。
OTOKAとしても、費用の使い方を見直す際には、ご利用者さまの安全や快適さを保てるか、職員に無理が生じないかを大切にしたいと考えています。基本報酬のあり方は、こうした日常の介護を安定して支えられるかという視点から考える必要があります。
ご利用者さまと向き合う時間を確保するために
報酬の水準とあわせて考えたいのが、制度を運用するための事務負担です。
今回の意見交換会に提出された資料では、加算や手続きの複雑さを見直し、現場の負担を軽くすることも求められています。(厚生労働省掲載・地域共生ケア全国ネットワークの提出資料)
必要な記録や計画、評価は、支援の質を確かめ、職員間で情報を共有するために大切です。そのうえで、同じ情報を何度も入力する作業や、要件の解釈に迷う時間を減らせれば、現場にはもっと改善の余地が生まれます。
ご本人の希望をゆっくり聞く。ご家族さまと最近の様子を共有する。職員同士で、より良い関わり方を相談する。
OTOKAは、こうした時間を十分に確保できる運営を目指したいと考えています。制度のわかりやすさも、介護の質を支える大切な条件です。
先を見通せる経営が、人を育てる
職員を採用し、育て、長く働いてもらうには、継続した取り組みが必要です。
昇給をどう積み重ねるか。研修の機会をどう確保するか。経験を積んだ職員に、どのような役割を担ってもらうか。こうしたことは、数年先の事業運営を見据えて考える必要があります。
安定した収入の見通しが持てることは、職員の成長を支える計画や、必要な設備更新にもつながります。そして、経験を重ねた職員が働き続けられることは、ご利用者さまやご家族さまとの信頼関係を深める力になると考えています。
基本報酬の引き上げを議論する際には、目の前の費用への対応に加え、これからの介護を担う人を育てられるかという視点も大切にしてほしいと思います。
OTOKAが大切にしたいこと
OTOKAには、「自分の親なら、どうするか」という判断の軸があります。先日の最低賃金についての記事でも、この視点から職員の待遇と事業運営についてお伝えしました。
自分の親が安心して通えて、気持ちをわかってくれる職員がいる。その場所が、これから先も地域にあり続ける。
私たちが目指す介護には、日々の丁寧な関わりと、それを続けられる経営の両方が必要です。
事業者として、業務の進め方や費用の使い方を見直し、改善を重ねていく。その努力とともに、物価や賃金の変化を踏まえた報酬と、現場が運用しやすい制度が整うことを期待しています。
ご利用者さまの暮らしを支え、ご家族さまの安心につなげ、職員が自分の仕事を大切にできる場所をつくる。
株式会社OTOKAは、その責任を果たしていけるよう、これからも日々のサービスと事業運営に向き合ってまいります。
参考資料
- 介護ニュースJoint「『加算ではなく基本報酬の引き上げを』 来年度改定へ要望相次ぐ 物価高などで現場に危機感」
- 厚生労働省「第265回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」
- 全国介護事業者連盟「令和9年度介護報酬改定に関する意見」
- 地域共生ケア全国ネットワーク「令和9年度介護報酬改定に向けて」
※本記事は2026年9月16日時点で確認できる公表資料・報道に基づいています。紹介した基本報酬の引き上げ等は、2027年度改定に向けた関係団体の要望であり、改定内容の決定を示すものではありません。


